糖尿病とは
糖尿病は、40歳以上の5人に1人は糖尿病かその予備軍であると言われています。膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが不足したり、その働きが不十分なために起こる病気です。食事を取ると腸から栄養が吸収され、ブドウ糖が血液に入ると瞬時にインスリンが分泌されます。
インスリンはブドウ糖を肝臓、筋肉や脂肪細胞に取り込んだり、肝臓からの糖の放出を抑えたりします。インスリンが不足したり、働きが不十分だと、血液内のブドウ糖が処理できず、ブドウ糖は血液の中に溜まってしまいます。この高血糖の状態が糖尿病です。特徴的な様々な合併症をきたす危険性のある病気です。
当院では、比較的軽度の糖尿病患者さんがいらっしゃるので、合併症にならないように治療のサポートを行っています。症状の内容によっては、循環器内科とクロスオーバーする部分であり、どちらもこだわらずに診察しています。
糖尿病と虚血性心疾患
心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患や脳卒中などの血管障害の原因となる動脈硬化を起こす要因を危険因子と呼びますが、危険因子には、糖尿病、高血圧、高脂血症、肥満、喫煙、ストレス、などがあげられます。糖尿病、高血圧、高脂血症はインスリンの効きづらい状態、すなわちインスリン抵抗性を介して、相互に絡み合い動脈硬化を加速進行させます。これを最近では「メタボリック・シンドローム」と呼ぶようになりました。
糖尿病と虚血性心疾患の合併症頻度は非糖尿病の約3倍にものぼると報告されていますが、いずれも自覚症状がない口渇、多飲、多尿、倦怠感等の症状のまま進行する病気で、気付かないうちに突然、生命を脅かすような状態を招きかねません。
糖尿病の初期とも言える境界型糖尿病の時期に、すなわちまだ症状のない時期にでもすでに動脈硬化が始まっていると言われ、合併症を予防するには早期発見、そして早期治療が重要になります。
高血圧
血液が流れている状態には、押し広げる力が最も強い時と、最低限の血液だけが流れていて押し広げる力が最も弱い時とがあります。高血圧とは、この血圧が慢性的に、正常より強くなってしまった病気の事をいいます。自覚症状はほとんどなく、定期的に血圧を測っていないと、高血圧を発見することは難しいです。
さまざまな生活習慣が長年積み重なって 起こるのですが、最もウエイトが大きいと考えられている要素は、遺伝的体質です。しかし遺伝するのは「体質」であって「病気」ではないので、生活習慣で予防・改善していけば、発病の危険を回避することができます。
高脂血症
高脂血症とは、血液中に溶けている脂質の値が必要量よりも異常に多い状態をいいます。高脂血症は「サイレント病」 といわれ、血中脂質が異常に増加してもほとんどの場合において自覚症状がなく、健康診断などの血液検査で発見される事が多いのがのが特徴です。
血中脂質にはコレステロール、リン脂質、中性脂肪、遊離脂肪酸などがあります。血中脂質が高い状態が続くと狭心症、心筋梗塞などの心臓病にかかる危険性 が高くなります。
狭心症と心筋梗塞
虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)は年々増加を続け、高齢者人口の増加につれて患者数は増えつづけ、3大死因の1つになっています。急性心筋梗塞症だけで言えば、その発症数は年間約15万人で、そのうち30%の方が死亡しています。
年をとるにつれ、冠動脈の血管壁にコレステロールがたまり、動脈硬化が進むと、血管の内側が狭くなります。血流が不十分になる位狭くなると、心臓を動かす血液が不足する「心筋虚血」になってしまいます。虚血状態になると、心臓から発するSOS信号として、胸痛か胸の圧迫感を感じるようになります。これが狭心症です。ただし、この症状は長くても15分以内に消えてしまいます。冠動脈がさらに狭くなって「完全にふさがって血液が通じない」ままになりますと、その部分の心筋細胞が壊死(えし)して、症状も長時間続くことになります。この状態を急性心筋梗塞症と呼びます。
メタボリックシンドローム
肥満症や高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病は、それぞれが独立した別の病気ではなく、肥満、特に内臓に脂肪が蓄積した内臓脂肪型肥満が原因であることがわかってきました。このように、内臓脂肪型肥満によって、さまざまな病気が引き起こされやすくなった状態を「メタボリックシンドローム」といい、治療の対象として考えられるようになってきました。
「メタボリックシンドローム」という概念が確立された目的は、動脈硬化による循環器病(心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症など)をいかに予防するかということです。